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【雛人形】
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三月の節句に雛人形を贈答する風習があります。贈られる人形にはいろんな思いが込められています。
昨年、あることでお世話になった方に、お礼として、ちょっとした雛人形を贈りました。還暦をゆうに過ぎたその女性は、長い間、ご主人と二人の息子さんに囲まれて生活しておられました。包みを開けたその掌には、小さな雛人形が二つ。「ずっと男ばかりの家の中にいて、三月の節句なんて縁がなかったのに、この年になって自分のために雛人形を頂くなんて思ってもみなかったわ」と、ぱっと乙女心に灯がともったような明るい表情で喜んでくださったことをよく覚えています。
贈ったり、贈られたりする雛人形には、きっとそれぞれの物語があることと思います。雛人形での町おこしがあちこちで盛況なのは、華やかさはもちろんのこと、その人形たちが持つ歴史を感じることができるからかもしれませんね。
そんなことを思いながら、今年の雛祭りを楽しんでみるのも一興かもしれません。