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【柊】
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九州ではあまり馴染みがありませんが、節分の鬼よけとして、鰯の頭を柊の枝葉に刺し、戸口に提げる風習があります。燃して強烈な臭いを発する鰯の頭と、柊の刺のような葉で鬼の目を突いて退散させたという伝説から、このような風習が伝わったといわれます。
柊は、固くてギザギザの葉をし、触ると「疼く(ひりひり痛む)」ことから「ひいらぎ」という名前がついたといわれます。この植物の面白いのは、五十年から八十年ほど経つと葉の刺が自然に消え、次第に丸みがかってくること。年をとって刺がなくなるので、人間のあり方に重ねて語られることも少なくありません。
今では庭木や細工物として親しまれる常緑樹ですが、『古事記』などの古い書物にも登場するほど、日本人には緑の深い植物なのです。
ちなみにクリスマスの柊はモチノキ科の西洋柊。節分に使う日本の柊はモクセイ科で、どちらも似たような形の刺があるのですが、植物としては全くの別物です。