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【冬支度 炬燵(こたつ)】 |
十一月ともなれば、そろそろ本格的な冬支度が必要となります。我が家でこの時期登場する暖房器具といえば、炬燵。隙間風にも負けない頭寒足熱の効果は、今年も活躍が期待されます。
炬燵は江戸時代に庶民に広がり、火鉢とともに日本の冬に欠かせない暖房器具として発達してきました。とくに、火鉢が寺院や武家で客向けに使われたのに対し、炬燵は家庭でその威力を発揮していました。
江戸時代、茶道の炉開きに倣(なら)って、新暦十一月初旬の亥の日を炬燵開きとする習慣があったのをご存じでしょうか。この日は特別に玄猪(いのこ)と呼ばれ、「火の用心」を始める目安とされていました。亥の日がその目安となったのは、当時の生活習慣に浸透していた陰陽五行説が影響していたためです。亥にあたる日は、陰陽五行説で水の性質を表し、最も火難を逃れられると信じられていたのです。
なんとなく使用する生活用具も、昔の生活や習わしを思いながら使うと、なかなか風情のあるものだと感心します。