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【さるすべり】 |
夏にいよいよ勢いを増すのが「さるすべり」。夾竹桃(きょうちくとう)と共に日本の夏を代表する植物です。
「さるすべり」と耳にすると、猿がつるんと滑っている様子を思い浮かべ、「猿滑」という表記を想像する方も少なくないでしょう。実際子の幹は、木登り名人の猿でさえうっかりすると滑り落ちそうなほどの肌をしており、豊かな想像力をもってすれば、この呼び方も合点できます。
では、なぜ、「さるすべり」は、文字表記にすると「百日紅」なのでしょう。実はこれは、原産地中国の表意文字で、次から次へと花を咲かせ、百日にもわたってどこかにピンクや白の花を咲かせていることから当てられたといいます。同じ植物でも、それぞれ目のつけどころが違うと、名づけ方も変わってくるのですね。
ただ、日本の先人は、この植物を「さるすべり」と読んでしまった。その洒落っ気たっぷりの感性がとてもユニークで、毎年この植物を見ると、思わず幹を撫でずにはいられなくなるのです。