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【蓮の池】 |
蓮の浮葉でびっしり覆われる大きな池をご覧になったことはありますか。冬場は枯れた草だらけなのに、絨毯(じゅうたん)のように青々と広がるその勢いには、おもわず感嘆の声を漏らさずにいられません。
蓮はインドを原産とするハス科の多年生水草で、盛夏のころ、水底の宿根から若葉を出し、淡緑の小さな円形の葉を水面に張り付かせます。水面から茎を立てて斜めに巻葉を見せて開くのですが、そのときの緑葉には、一種の香気が漂っているようにも思えます。
蓮の香(か)や 水をはなるゝ 茎二寸 蕪村
目の前の景色を想像し、心まで端々しくなるようです。
朝方の散歩では、白緑色の広い葉に露の玉が転々としている様子をみることも少なくありません。きらきらと光る朝露は、まるで水晶のように見えるから不思議です。あと何日も経てば、多弁の花の芳香が、辺り一面を桃源郷に変えてくれる事でしょう。目に涼しい蓮の池を楽しむ夏の一日はいかがでしょうか。