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【鵲(かささぎ)】 |
先日、川辺で美しい鳥と出会いました。黒と白の姿が眼にまぶしい鵲です。
鵲は全長四十五センチメートほどの黒い鳥で、腹、肩、翼の先が白く、尾は長くて金属の光沢を帯びたような縁黒色をしています。田舎のあたりでは、樹木の枝に大きな丸い巣を作る姿が見られるといいます。
孔子が編集したといわれる中国最古の刺繍『詩経』には、この鵲を歌った民謡があります。当時の民衆は、鵲をどのように詠んだのでしょうか。面白い翻訳があるのでご紹介します。
かささぎの巣に
めをと鳩が入ったとばい
殿様と奥方と
どつちもどつらも
車百両出して
そいで、めをとにならしたとたい
これは海音寺潮五郎の名訳誉れ高い『詩経』からの引用です。なぜか九州弁なのです。海音寺潮五郎が薩摩出の九州人だったからでしょうか。いずれにせよ、九州に住むわたしには、この『詩経』の一節が、鵲と遭遇したあの日からことのほか気になるのです。