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【彼 岸】 |
「悟りの世界へ渡る修行をする日」というと、なんだか難しそうに聞こえますが、お彼岸には本来こういった意味もあることをご存じでしょうか。迷いの多い「比世」と、悟りの世界の「彼岸」。この二つの世界をつなぐのが彼岸会です。
その昔、仏教では、一年中(三百六十五日)を彼岸とし日々の生活の中で六波羅密を実践するようにと教えていました。ところが、修行僧でもないかぎり、さすがにこれは大変なことです。そこで、春分と秋分を選び、その前後の七日間に彼岸会をするようになりました。亡くなって仏となったご先祖たちを供養し、感謝してお墓参りするのも、実はその行のひとつなのです。
お彼岸の代表的なお供え物はぼたもち(おはぎ)です。春にはぼたもち、秋にはおはぎと呼びますが、実は同じ物なのです。春の場合は、やがて咲く牡丹の花に似せて、秋の場合は、萩の花の咲くころにつくる餅だから、ということでした。自然を見立てる日本の美的センスにまた感心しました。
六波羅密とは…
布施(施し)・持戒(戒律を守る)・忍辱(がまん)・
精進(努力)・禅定(心の統一)・智慧(正しい洞察力)