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【女郎花】 |
秋の七草のなかでも、毎年気になってしまうのが、女郎花。たくさんの植物に名前をつけてきた日本人ですが、「おみなえし」に「女郎花」という表記をあてるセンスには思わずうなってしまいます。
女郎花は、日当たりのよい山野にはえる多年草です。高さは一メートルで、晩夏から秋にかけて黄色く細かい花をたくさんつけます。そして字の如く、日本人はこの花を、若く美しい「花」に喩えてきました。
平安時代につくられた恋物語に、『女郎花』というものがあります。足の遠のいた夫の不実を悲しみ、入水した女が野辺に女郎花となって生まれ変わるというものです。「身を投げた女が花となる」という伝説は、東西問わず世界的にも美しいモチーフですが、この野辺に咲く女郎花のイメージこそ、昔の日本人が「美しい!」と思った女性像だったのかも知れません。
植物への観察眼のするどさは、ピカイチだった日本人。現代の女性はどんな花に喩えられるのでしょうか。