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【いきなしぐさ】 |
いきな江戸っ子の「江戸しぐさ」というものに焦点をあててみることにしました。
「しぐさ」というと単純に動作やふりを想像しそうですが、ここでいう「しぐさ」とは、日常の心得、付き合いの仕方、心映えや心意気をも含んだものをさしています。研究家によると、江戸しぐさのチェック・ポイントは八八〇項目にものぼるそうです。
江戸の人口は約八割が商人でしたが、商人が一流になるために最も必要だったのは気付きと気働きだとか。これが「見て分かることは言わない」「結界覚え」「人のしぐさを見て決めよ」といった名文句を生みました。
しかし、いざこれを実践しようと思っても、なかなか簡単にはいきません。「たったこれだけのこと」と思いそうですが、シンプルゆえに奥も深いのです。しなやかでしたたかな商売原則とは、コミュニケーション・マナーそのものだったようです。こう考えると「江戸しぐさ」は現代人に大切なことを教えてくれるように思えるのです。