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【初庚申】 |
路傍で「庚申」と書いてある石標に出くわしたことはないでしょうか。風景に溶け込んでいるので気づく方も少ないかもしれません。実はこの石標、古き良き時代の生活週間に息づいた知恵の産物なのです。
石標に刻まれた文字は「こうしん」と読みます。六十日に一度まわってくる申の日のうち、男たちが集まって夜更けまでおしゃべりする講の目印です。一昔前までは「庚申の夜には、眠っている間に体内の三尺(さんし)虫が罪過を天帝に告げる」といい、それを徹夜で避ける風習があちこちで見られました。儀式的なこともするのですが、夜を徹した話に花を咲かせる楽しさが、いつしか習慣として定着していったのではないかと考えられています。
最近は、ほとんどの講が夜のうちに解散しますが、娯楽の少なかった当時では、色んな悩み事を相談し、仲間と苦楽を共有し合う大切な場だったのではと想像できます。一年の最初の庚申の日を、とくに「初庚申」といいます。一年の最初の庚申の日を、とくに「初庚申」といいます。今年は二月五日です。