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【月見と団子】 |
昼間の暑気がのこる九月中頃の夜、月の輝く「仲秋の名月」がやってきます。そこで今年はちょっと手をかけて、月見の供え物を準備することにしました。
秋の草花には、萩、すすき、桔梗、藤袴をチョイスし、ちょいと大人っぽい取り合わせで生けてみます。毎年お店で買っていた団子も、今年は本を読みながらの挑戦です。まず、上さん粉に水を加え、耳たぶよりほんのちょっと硬めにこねます。子供の頃に作って以来の感触を頼りにこねるのです。白くなった顔や服をよそに、いい按配の種を丸め(いかにも手作りといった風に)、しゅんしゅん沸く蒸し器に入れます。
数分後、なんともいえない色艶をつけた団子たちのお目見えです。十二個、もしくは十三個と、一年の「月」の数だけ山に盛り、お砂糖をかけて甘くしておきます。
供え物が出来たら、お月様が見える場所にしつらえます。美酒を嗜み、虫の音や肌に染みる風を感じたら、今年の仲秋もいよいよ満ちる頃となります。