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【ゆかた】 |
夏の口に、一度は着たいのがゆかたです。気心の知れた友人と出かける夏祭りにでも、大切な人と行く花火の夜にでも、ゆかたに包まれて人に会う時は、心そわそわ、気分もぐっと変わるものです。
幸田文の『番茶菓子』にはこんな記述もあります。
・・・ゆかたの味は、一言に云えば「夏」なのである。・・・とかく暑さにうるささは禁物である。さっと買って、さっと着て、ちょいと団扇でも持ってごらんなさい、われしれず美人にもなったような気がするし、したがって涼しくなろうじゃありませんか、と云いたいところが持味である。・・・
上級者になると、気だるい暑さに心のもち様をかえてくれるのもゆかたの魅力。糊の効いたのは肌を離れて風を入れてくれるし、糊を落とせば肌に添って夜の冷気をかばってくれます。着慣れると、だんだんと「肌に情けのある着物」になっていくのに気が付くことも。
少し気分を変えて過ごしたい一日には、ゆかたを纏(まと)ってみるのも一考かもしれません。