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【餅賛歌】 |
餅入りのうどんを食べながら、どうしてこれを「力うどん」というのかしらと、不思議に思ったことのある方は少なくないでしょう。「餅=力」ですから、餅には何やらパワーが宿っているらしいのです。
確かに、餅という食べ物は、ほんの少しでお腹が膨れますし、簡単に飲み込めない粘り強さがありますし、固まった後も、火で炙ると予測不可能に自在変化してしまう奇妙な特性があります。また、オロシ大根、納豆など、何と絡めても相手の個性を潰さずに、自分の個性をもしっかりアピールしてしまう、したたかな面
も兼ね備えているのです。
特に日本人は正月に餅を食べる風習がありますが、これなどは大変古く、かるく一千年の時を越えています。紀貫之の有名な『土佐日記』には、正月に餅を食べて稲の霊力を吸収し、よき歳を重ねようと願いを込めた歯固餅の記述が残されています。
その特性、歴史、日本人の関心度を考えると、餅の偉大さには頭が下がるばかりなのです。