|
【盆 栽】 |
一頃、南米出身のエアー・プラントという不思議な植物が流行った。
インテリア感覚で、養土を必要とせず、2・3日おきに葉に水をかけてあげさえすれば元気でいるという。忙しい都会の女性達にとって、お手軽な心のオアシスと云えそうだ。
エアー・プラントとは極にある生きもの。それが盆栽ではないだろうか。平安の時代に唐から渡ってきた美術品である。古来より今日まで、その魅力に取り付かれた人々の言葉からは、盆栽への並々ならぬ
愛情が伝わってくる。毎日の手入れと水遣り、目に見えぬ
根の部分に心を配るという苦労は、『お手軽』と言うキャッチフレーズは決して似つかわしくない。松にしろ、梅にしろ、育てた人の心が鏡のように反映される植物だけに、緊張感もヒトシオだ。その緊張感があるからこそ、愛着も湧くのだろう。
たまにはお手軽も心地よい。だけど「根」を育て鍛え上げる大人の愛情感覚も大切なのではないだろうか。