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【富士山】 |
富士山が初めて書物に登場するのは、八世紀はじめの『常陸国風土記』。凄まじい噴火の繰り返しと、それによって成った富士山の造形美「フジヤマ」は、古来より、多くの日本人に、限りない憧れと畏怖を抱かせてきました。
フジは、福慈・不二・附神。もともと急傾斜の地形を表す言葉には、こんな当て字が使われています。
歌、絵、伝説など、富士山を題材にした作品が実に多いこと。それだけ人々の心を刺激するパワーは、いったい何かしら…。
実は富士山、「人間でいえば、まだまだ幼年期の火山」だそう。現在のかたちは、三つの火山が積み重なった複合火山で、この先、さらに姿を更新していく可能性だってとても高いといわれています。
「完成美」と思わせといて、否。つねに内側から噴火し、崇高なばかりの姿を作り続けてきたありかたこそが、この山を「めでたさの象徴」とする由縁なのかもしれません。日本人の「サガ」を、改めて考えさせてくれる、富士山なのです。