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【盆踊り】 |
こどもの頃、毎年楽しみにしていた夏の行事に盆踊りがあります。輪になって踊る地元のおばさんや友だちが、その夜だけは妙に色っぽく見えて、えも知らぬ
どきどき感につつまれたことを思い出します。
今年の夏は、数年ぶりにその盆踊りに出かけることにしました。まつりの当事者だったときには思いもしなかったのですが、一度その習慣から離れて生活をすると、より一層、あの夜の賑わいだ熱気が新鮮に感じられます。
せっかく踊りにいくのに、洋服と靴ではやはりものたりません。浴衣や下駄
を揃えたくて、一日かけて気に入るものを探し回りました。以前、踊りの先生に「浴衣は着てみるだけでも十分に魅力があるけれど、踊りの動きの中では、なお一層映えるものですよ」といわれたこと思い出しながら…。
夜の空間に揺れる光と影は、まさしく陰影礼賛。まつりの夜をぼんやり想像しながら、近づく真夏の夜へと心が躍るのを感じるのでした。